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番外編: 急性リンパ性白血病(5) 最後の入院

2009年10月13日(火)は、1月から続いてきた強化療法の最終日、すなわち最後の入院だった。この日はオンコビンの静脈注射とロイナーゼの皮下注射、そして昼食後のプレドニン内服で全ての投薬が終了。翌14日(水)に主治医達とパパママが面談し今後の維持療法について説明を受け、その夕方、10ヶ月半にわたって長男坊の胸の中に埋まっていた中心静脈カテーテルを抜いた。カテを入れるときは手術室で全身麻酔だったが、抜くときは部分麻酔なので病棟内の処置室で30分足らずで済んだ。長男坊には「お芋掘りだよ」と事前によく説明しておいたので、泣いたり騒いだりせず無事成功。3歳10ヶ月で入院して治療が始まった頃は、暴れたり泣き叫んだり大変だったが、彼なりにつらい治療を受け入れ、強く成長したんだなあと感慨深い。15日(木)の朝にカテーテルを抜いた外科の先生が診察に来て、退院許可が出た。傷口からの感染を予防する抗生剤(メイアクト)と、いつものバクトラミンを処方され、午前中に退院し帰宅した。帰り際、当直看護師の呼びかけで病棟内にいた担当医師や看護師長、顔見知りの看護師達が見送りに来てくれて、シャイで無愛想な長男坊も内心うれしいのか、「ありがと」「さよなら」と挨拶して出てきた。

治療はまだまだ続くが、今後は入院がなくなり、カテーテルが外れたのは大きな節目だ。本人だけでなく、入院付添や自宅でのケアを一身に請け負ってきたママにとっても「解放の日」と言えるかもしれない。特に胸の消毒やヘパフラッシュ、そしてパーミロールを貼っての入浴など気を使う作業は、ママにしか出来なかったから。

さて、いわゆる維持療法は翌週22日(木)の外来からスタートする。14日の主治医との面談では、いつものように詳しい説明を受けた(以下要点)。

  • 維持療法では、ロイケリン(メルカプトプリン/6-MP)を毎日1回、メソトレキセートを週1回内服する。これを104週、つまり2年間続ける。

  • ロイケリンの作用機序は完全には分かってないが、細胞の増殖周期が比較的遅い場合に効くらしい。今まで強度の高い治療で増殖周期が速い白血病細胞を叩いてきたが、周期が遅い細胞はまだ残っていると考えられ、それをこれから時間をかけて叩いていく。

  • 当然ロイケリンもメソも正常な造血に影響を与える。薬が効いていれば白血球数は低くなるが、効き方に個人差があるため、白血球数が2,000~4,000/㎣に収まるようロイケリンの量を調整する。正常値より低いが日常生活には支障ないレベル。

  • 外来診療は通常4週間おき。ただし最初は薬が効いてくる2週間後に白血球数を確認し、薬の量を増減させる場合はそれが安定するまで2週間おきに外来。毎回採血をしてその結果を元に診察する。

  • 長男坊は強化療法中も造血活動が活発だったため、薬量を増やす可能性大。ちなみに治療最終日(10月13日)の採血では、白血球:11,710/㎣、ヘモグロビン:13.0g/dl、血小板:374,000/㎣と、どれも標準レンジ内。

  • 生活上の制約は一切ない。生ものや発酵食物を食べるのも可。幼稚園など集団生活は、あと1~2ヶ月様子を見て、少なくとも年始(1月)から復帰するのがよいだろう。ただし今年は新型インフルエンザの動向には注意する。

  • 次第に抗がん剤を使っている意識が薄れてくると思うが、免疫抑制のリスクは常に気にかけておいてほしい。

  • 風邪をひいたりして熱が出た場合、一晩様子を見て熱が下がらなければ近くのかかりつけ医か救急病院で診てもらう。通常の風邪くらいであれば、そこで処方される薬で十分。それでも熱が下がらない場合や、インフルエンザなどの危険な感染症の場合は、成育の担当科(血液腫瘍科)に電話を入れて指示に従う。

  • 熱が出たときはロイケリンは休薬する。飲み忘れた場合も翌日に2回分飲むことはせず、1日の所要量を守る。2年間毎日飲み続けるものなので、多少の飲み忘れは想定内。

  • 抗生剤のバクタ(バクトラミン)は、維持療法の間ずっと飲み続ける。カリニ肺炎の予防だけが目的だが、カリニ肺炎は生命に関わる極めて重篤な病気であり、抗がん剤の免疫抑制によって罹る可能性があるため必ず服用する。カリニ肺炎は人体に常在すると言われている真菌が病原体で、通常は免疫に抑えられ増殖・発症することがない。

  • 過去のワクチン接種でついた免疫は、今回の化学療法くらいで消えることはない。しかし必ずしも予防接種で抗体ができているとは限らないので、心配なら来週の外来時に抗体検査をしてもよい。抗がん剤使用中のワクチン接種は原則不可、特に生ワクチンは「禁忌」なので、もし抗体がついてなかった場合はその病気にかからないよう注意する。

  • インフルエンザは不活化ワクチンなので絶対駄目なわけではないが、副作用のリスクを考えると維持療法の間は接種せず、罹患しないよう気をつけているほうがよい。

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強化療法の後半、7月から今回の退院までの治療記録を最後に記す。6月までは「番外編(3)強化療法」を参照のこと。

7月以降は月に数泊入院するだけで、自宅療養期間という感じだった。自宅では雨が降らない限りほぼ毎日散歩や外遊びをし、週末は家族で出かけ、夏は2泊3日の旅行もした。それでも感染にはかなり気を付けていたので、ちょっとした風邪にも罹ることがなく、38度以上の熱は一度も出さずに済んだ。入院中心の頃に比べると、精神的に落ち着き、野菜や魚介類もよく食べるようになり、よく日焼けしてパッと見は健康優良児。しかし副作用が全くないわけではなく、プレドニン服用期間は、食欲が亢進し、肉・卵・チーズを異常に好み、テンションが高く怒りっぽい。反対にメソが入るとしばらくは食欲がなくなり、テンションが下がる。特に髄注は最後まで相当こたえたらしく、注射後はベッドで1日ぐったりしていたようだ。

2009年7月2日(木)から2週間

  • プレドニン(プレドニゾロン): Day1-15の毎日3回内服
  • オンコビン(ビンクリスチン): Day1, 8, 15
  • ロイナーゼ(L-アスパラギナーゼ): Day8, 15(皮下注射)
  • Day1は外来、Day8とDay15に1泊ずつ入院

2009年7月28日(火)

  • 髄注とメソトレキセート(MTX)中容量 ― 500mg/㎡の6時間点滴
  • メソの血中濃度が下がるまで2泊入院

2009年8月18日(火)から2週間

  • プレドニン(プレドニゾロン): Day1-15の毎日3回内服
  • オンコビン(ビンクリスチン): Day1, 8, 15
  • ロイナーゼ(L-アスパラギナーゼ): Day8, 15(皮下注射)
  • Day1は外来、Day8とDay15に1泊ずつ入院

2009年9月15日(火)

  • 髄注とメソトレキセート(MTX)中容量 ― 500mg/㎡の6時間点滴
  • メソの血中濃度が下がるまで2泊入院

2009年9月29日(火)から2週間

  • プレドニン(プレドニゾロン): Day1-15の毎日3回内服
  • オンコビン(ビンクリスチン): Day1, 8, 15
  • ロイナーゼ(L-アスパラギナーゼ): Day8, 15(皮下注射)
  • Day1は外来、Day8に1泊入院、Day15から2泊入院
  • Day16に中心静脈カテーテルを抜去し、翌日退院

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コメント

>「ありがと」「さよなら」と挨拶して出てきた。

想像したら泣けました。退院おめでとうございます。

投稿: futaba | 2009年10月18日 (日) 07時54分

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